ロボット工学10
note Item Type Metadata
note
# 運動学・ヤコビ行列と偏微分
## ロボットアームの運動方程式の各項
### DΘ' = 粘性摩擦力の項
- `Θ'`の部分は角速度
- `D`の部分は定数行列
- これらの両者の積として粘性摩擦力を示している
- これらは速度に比例する
#### 粘性とは?
オイル・グリースなどの潤滑油の粘性によって起きる摩擦。
一般的に粘性が高いと必要なトルクは大きくなる。
例として小麦粉などで作られるダイラント流体などがあるが、これは通常使われないため考慮されていない。
これらの特殊なものを使う場合は、この方程式の項について特殊項を代わりに使うことになる。
### f(Θ) 動摩擦力の項
ある物体があるとき:
- 動きている時には動摩擦力が発生する
- 止まっているとき静止摩擦力が発生する
静止摩擦力はテーブルを傾けることで推定でき、
静止摩擦力を求めることによって、動摩擦力も実際の動作から逆算することによって推定できる。
ある物体に垂直抗力Nがあるとき:
- 水平時は抗力が一般的には最大となる
- これがΘだけ傾いたとき、この抗力は上方向のベクトルと地面と水平ベクトルに分解される
- 傾いている時には $N \sin \Theta$ で表すことができる
これはアームの角度により変化する関数として考えることができ、
`f(Θ)`で表すことができる。
これは1以下の数の積である力を減衰するものとして表せられる。
### g(Θ) 重力項
ある機械のパーツがあったとして、その慣性モーメントとして考えた場合に、その角度と場所によってそこにかかる重力によってかかる力は変わる。
重力によるモーメントは以下の式によって求められる:
$$
\tau = m \cdot l \cdot g
$$
ここで:
- `m`: 質量
- `l`: 重心までの距離
- `g`: 重力加速度
これらを行列で表したものがこの重力項の定義だといえる。
(注:重力項は重力が原因であるが、軸と角度がないとモーメントとして表現できないため、角度Θの関数として表現される)
### 小まとめ
ロボットアームの姿勢により、各関節に必要となるトルクが変化する。
**数式で表現できるということは近似的に計算機で計算できるということである。**
→ 物理エンジンでシミュレーションできる
→ いろいろな力をあらかじめ予想したりできる(制御精度も向上される)
## 運動学と動力学の違い
- **動力学**:力、加速度、速度、位置
- 運動方程式で表現する
- **運動学**:**位置関係のみ**
- 力や加速度を考慮せず、位置と角度の関係のみを扱う
## 順運動学の基礎
### ロボットアームの表現
| 関節 | 1 | 2 | 3 | 4 | 位置 |
|------|---|---|---|---|------|
| 角度 | Θ_1 | Θ_2 | Θ_3 | Θ_4 | P(x,y,z) |
### 順運動学
$$
\Theta = (\Theta_1, \Theta_2, \Theta_3) \rightarrow P = (x_p, y_p, z_p)
$$
それぞれの角度から場所を計算によって特定する方向。
*これは解が一つある、その動きの結果から演算するため。
## 逆運動学の概要
ある動作をしたいときに各関節の角度の動きをどう動かすか考えることを逆運動学という
この考え方には問題があって
1. 解が1つの場合と
2. 解が複数の場合
3. 解なし
4. 計算不能(計算の数式が不明)
## 動力学
### 順動力学
入力:関節トルク(τ)
出力:手先の
- 位置
- 速度
- 加速度
- 力
*トルクを与える(トルクとは回転する力τで表せられる。)
*入力するトルクから運動パラメータを算出する方法。
### 逆動力学
入力:手先の
- 位置
- 速度
- 加速度
出力:関節トルク
*運動パラメータから各関節のトルクを算出する。
## 2自由度アームの順運動学例
2自由度アーム(独立して動かせる関節が2か所)
### 図1 2自由度アームの順運動学の例
```
P(X, Y)
*
/|
/ |
l2/ |
/ |
/ |
/ |
* 関節2
/|
/ |θ2
l1/ |
/ |
/ |
/ |
* 関節1
/|
/ |θ1
/ |
/ |
/ |
*-----+--------> X軸(水平線)
O(原点)|
|
v
Y軸
```
角度の関係:
- θ1: 第1リンクの角度(水平軸からの角度)
- θ2: 第2リンクの角度(第1リンクからの相対角度)
- 第2リンクの絶対角度 = θ1 + θ2(水平軸からの角度)
- 原点Oから始まる2リンクアーム
- 第1リンク:長さ`l1`、角度`θ1`(水平軸からの角度)
- 第2リンク:長さ`l2`、角度`θ2`(第1リンクからの相対角度)
- 手先位置:`P(X, Y)`
- 関節1、関節2が各リンクの接続点
### 順運動学の式
$$
\begin{aligned}
X_p &= l_1 \cos \theta_1 + l_2 \cos (\theta_1 + \theta_2) \\
Y_p &= l_1 \sin \theta_1 + l_2 \sin (\theta_1 + \theta_2)
\end{aligned}
$$
#### ロボット工学の略記法
$$
\begin{aligned}
C_1 &= \cos \theta_1 \\
S_1 &= \sin \theta_1 \\
C_{12} &= \cos (\theta_1 + \theta_2) \\
S_{12} &= \sin (\theta_1 + \theta_2)
\end{aligned}
$$
略記法を使うと:
$$
\begin{aligned}
X_p &= l_1 C_1 + l_2 C_{12} \\
Y_p &= l_1 S_1 + l_2 S_{12}
\end{aligned}
$$
### 図2 三角関数おさらい
```
*
/|
/ |
c / | a
/ |
/ θ |
*-----*
b
```
記号の意味:
- θ: 角度
- a: 角度θの対辺
- b: 角度θの隣辺
- c: 斜辺
直角三角形において:
- 斜辺:`c`
- 角度`θ`の対辺:`a`
- 角度`θ`の隣辺:`b`
$$
\begin{aligned}
\cos \theta &= \frac{b}{c} \\
\sin \theta &= \frac{a}{c} \\
\tan \theta &= \frac{a}{b}
\end{aligned}
$$
### 図3 1リンクアームの場合
```
P(Xp, Yp)
*
/|
/ |
/ | Yp
l / |
/ |
/ θ |
*------+----> X軸
O(原点) Xp
|
|
v
Y軸
```
原点Oから長さ`l`のリンクが角度`θ`で配置されている場合:
$$
\begin{aligned}
\cos \theta &= \frac{X_p}{l} \\
\sin \theta &= \frac{Y_p}{l}
\end{aligned}
$$
両辺に`l`をかけると:
$$
\begin{aligned}
X_p &= l \cos \theta \\
Y_p &= l \sin \theta
\end{aligned}
$$
### 図4 2リンクアームの成分分解
```
P(Xp, Yp)
*
/|
/ |
l2/ |
/ |
/ |
/ |
* 関節2
/| |
/ | |
l1/ | |
/ | |
/ | |
/ | |
*------+-----+--------> X軸
関節1 | |
| | |
|② |④ |
| | |
*------+-----+
O(原点) ① ③
|
|
v
Y軸
```
成分の説明:
①: $l_1 \cos \theta_1$(第1リンクのX成分)→
②: $l_1 \sin \theta_1$(第1リンクのY成分)
③: $l_2 \cos (\theta_1 + \theta_2)$(第2リンクのX成分)→
④: $l_2 \sin (\theta_1 + \theta_2)$(第2リンクのY成分)
手先位置`P(Xp, Yp)`はこれらの成分の和:
$$
\begin{aligned}
X_p &= l_1 \cos \theta_1 + l_2 \cos (\theta_1 + \theta_2) \\
Y_p &= l_1 \sin \theta_1 + l_2 \sin (\theta_1 + \theta_2)
\end{aligned}
$$
### 図5 角度の関係
```
|
| θ2 (第2リンクの相対角度)
| /
|/
* 関節2
/|
/ |
/ | θ1 (第1リンクの角度)
/ |
*----+--------> X軸
O θ1+θ2 (第2リンクの絶対角度)
|
v
Y軸
```
2リンクアームにおける角度の関係:
- 第1リンクの角度:`θ1`(水平軸からの角度)
- 第2リンクの角度:`θ2`(第1リンクからの相対角度)
- 第2リンクの絶対角度:`θ1 + θ2`(水平軸からの角度)
よって、順運動学の式は:
$$
\begin{aligned}
X_p &= l_1 \cos \theta_1 + l_2 \cos (\theta_1 + \theta_2) \\
Y_p &= l_1 \sin \theta_1 + l_2 \sin (\theta_1 + \theta_2)
\end{aligned}
$$
Collection
Citation
unjuno, “ロボット工学10,” unjuno'sResearchLibrary, accessed October 7, 2026, https://archive.unjuno.org/items/show/140.
コメント